小学3年の頃から、めがねとは付き合いがある。

両親揃って視力が悪く、
殊に母親の近視と乱視の影響は
しっかり息子に引き継がれていて、
そのポテンシャルを存分に引き出すかのごとく
テレビゲーム好きでインドア派だった俺は
それはもう、矯正視力でないと
生活さえままならなくなるほどに。

めがねだと仕事で不便だからと
コンタクトレンズを使いはじめたのは
めがね史を振り返ればずいぶん最近のことで、
ルックス勝負で人生を渡り歩いていない俺としては
別にめがねでも問題ないのだが。



映画「めがね」を観てきた。

仕事で忙しく働いたあとに、どっぷりと疲れて
ああ、この忙しさはもう少し続くんだと
気持ちが折れかけているとき、
そして、ちょっとおなかが空いたな、という
シチュエーションで観たら、きっと堪らない。

とにかく、流れる空気がゆったりとしていて
期限に追われて忙しく働く時間と
かばんひとつで旅に出て
かき氷を食べながらたそがれる時間も
どちらもおなじ、時間なんだよな。

大きなアクシデントが起こるわけでもなく。
空気感と、たそがれのなかで過ごす
淡々としたシチュエーションだけで成立している映画。

ストーリーは、あいまいで
セリフは少なく、でも、表情だけで十分で、
海と空の色は透き通っていて、
そして食べ物はおいしそうで。

観終わったあとに、おもわず黙り込んでしまって
しばらく席を立てなかった。


今から行かれる方、興味のある方は
同じ監督で、主要出演者も近い「かもめ食堂」を予習にどうぞ。